このページでは、5S(3S)に関する質問・疑問に答えていきます。
なぜ5Sに取り組む必要があるのですか?
5S活動は、会社を綺麗にすることが目的ではありません。
5Sの本来の目的は、
・事故や怪我のない「安全」な職場を作ること
・無駄なく楽に素早く業務を行える「効率的」な職場を作ること
・心身共に「快適」な職場を作ること
これらを実現するのが5S活動の目的です。
昨今、働き方改革が叫ばれる中、いかに無駄をなくして生産効率を上げるか?が企業にとって大きな課題となっています。
従業員にとって働きやすい快適な環境が出来れば、離職率を下げられます。
また、企業のIT化、IOT化が進んでいく中でも、モノや情報の整理・整頓が大前提となり、これからの時代さらに必要となる活動です。
何より、活動に取り組まれる社員さんにとっては、社員さん自身の働く環境を良くしていくことが、一番の目的となります。
成果が出るまでは少し時間がかかりますが、成果が出始めれば、それが必要な活動であることが理解していただけると思います。
5Sと3Sは違うのですか?
3Sとは、「整理」「整頓」「清掃」のことで、そこに「清潔」「躾(しつけ)」を加えたものが5Sと呼ばれるものです。
5S活動ではまず、整理から始め、整頓、清掃とステップアップする形で活動を進めていきます。
「清潔」は、社員全員が整理・整頓・清掃の3Sをきっちりと守れるように仕組み化していくプロセスです。
最後の「躾」は、会社全体に3Sが習慣化され定着して、無意識にルールを守れる状態です。
つまり3Sを徹底することが、5S達成に繋がるというわけです。
5Sは製造業のためのものですか?
5Sの目的は、安全性の向上、業務の効率化、心身ともに快適な職場づくりです。
これは全ての業種にとって必要であり、しっかりと取り組み継続することができれば、必ず効果が現れます。
その効果は、品質の向上、納期短縮、コスト削減以外にも、従業員同士の連携やコミュニケーション、自主的な改善・提案など様々な面に及び、結果それが会社の利益アップにつながります。
また、5Sの本質は、見栄えを綺麗に整えることではなく、「ルール決めそれをしっかりと守っていく」というところにあります。
これは仕事をやる上でのもっとも基礎的なことで、全ての業種に当てはまる仕事に対する考え方です。
トヨタでは「5Sは仕事そのもの」だと言われています。
5Sをやると利益が上がるものですか?
すぐに利益に直結するような成果は表れません。
成果の出るスピードは社員の取り組み方や、会社に根付いた風土によって変わってきます。
(若い社員さんの多い会社では、浸透スピードが速いことが多い傾向にあります)
また、部の社員のみの取り組みではなかなか大きな効果は得られません。
基本的には全社で取り組む活動です。
社員同士が考え、話し合いながら改善活動が進んでいけば、必ず作業効率、そして生産効率が上がってきます。
すると、短納期になり、クオリティーも上がり、価格が下げれるという儲かる体質が作り上げられます。
5Sは企業の基礎体力にあたるものですので、成果が出るのはしっかりと体力がついてきてからと言うことになります。
5S活動はトップダウン・ボトムアップどちらで行うのが理想ですか?
理想なのは圧倒的にボトムアップでの5S活動です。
どちらで行っても、5Sを浸透、定着させることは可能です。
強制力を働かせる分、トップダウンの方がむしろ早いかも知れません。
しかし、時間はかかっても、そこで得られる効果は、ボトムアップの方が絶大です。
ボトムアップでの5Sは、社員が主体となって問題を見つけ出し、考え、改善を行っていきます。
そこでの様々な気づきから感性が磨かれ、改善の種になる「なんか気になる…」という感覚を身に着けられます。
そして、トライ&エラーを繰り返しながら成功体験を得ることができます。
これが社員の自信となり、5Sに限らず、通常の業務でも力を発揮することになります。
しかし、トップダウンの場合、いつまでもやらされ感が残り、モチベーションが上がらず、なかなか社員が自主的に動くようにはなりにくいです。
どちらでも実践可能な場合は、ぜひボトムアップ方式を取り入れていただきたいと思います。
職場にモノが多く、乱れており、整理するにも、どこから手をつけていいかわかりません。
モノが多ければ多いほど、どこから手を付けていいか分からなくなり、結局何も整理が進まないということはよくあります。
整理をするときはまず、使用頻度の高いところから行なっていきましょう。
よく使う共用の場所があればそこから行なってください。
また、5Sの整理には赤札作戦という方法があります。
これは「必要か不要かわからないモノ」に、期限付きの赤い札を貼っていくという方法です。
これで不要なモノを見える化していきます。
期限が来たモノは処分。
その時点でまだ必要だと判断した場合は、期限を延ばすなどの対処をします。
会社の整理にはとても効果的です。
ぜひ試してみて下さい。
みんながルールを守ってくれません。どのように指導すべきでしょうか?
「指導をする」という形をとると、トップダウンの活動になってしまいます。
みんながルールを守ってくれるようになるには、まずは、「ルールを考える」ことから全員で実施していきましょう。
上司が決めたルールではなく、みんなで決めたルールであれば、やらされ感がなく、自発的に取り組んでもらえるようになります。
まずは、みんなで話し合ってルールを決めることから始めましょう。
5Sリーダーに任命されたのですが、上司をどう巻き込めばよいのかわかりません。
「5S活動に全社で取り組もう」と決定しても、5S活動に対するモチベーションは社員によって差があります。
本来の業務とは別の仕事になるために、若手・古参関係なく面倒だと感じたり、乗り気ではない社員は必ず出てきます。
リーダーとしては、自分より上の立場の社員が協力的でない場合は、より苦労が増えることと思います。
もし上司があまり協力的でない場合は、そこにこだわらないようにして下さい。
社員の中には協力的ではない人もいれば、前向きに協力してくれる人もいます。
まずはそういう社員の人たちに一緒に活動してもらえるように巻き込んでいきましょう。
活動に反対の方や、乗り気ではない方を最初から無理に巻き込もうとすると、より反発が強まる上に、リーダーのストレス増してしまいます。
まずは共に活動してくれる仲間を増やしていきましょう。
活動の成果が見え始めて、5Sが良い活動である、必要な活動であるということを実感してくると、少しずつ協力者は増えてきます。
その輪をちょっとずつ広げていくことで、じわじわと会社の風土が変わり、協力的ではなかった上司に変化が現れる可能性が高くなります。
全員が率先して5S活動に取り組むようになるにはどうすればいいですか?
全員が率先してというのは、とてもハードルが高いことです。
一人ひとり5Sに対する考え方感じ方は違いますので、すぐに足並みをそろえてというのは難しいかもしれません。
時間はかかりますが、まずしっかりみんなで話し合いながら進めていくことが大切です。
リーダーや上司だけで決めて進めていくと、そこに関わっていない人は他人事になっていきます。
ルールを決める段階から全員で話し合い、全員の意見を聞きながら活動を進めていくことで、意識の薄い人も少しずつ自分ごとに変わっていきます。
理想は全社員を6名ぐらいの小グループに分けて、月に1回程度話し合う習慣をつけることです。
そうすれば、全体の意識が少しずつ変化して、率先して取り組めるようになってきます。
仕事が忙しくて5S活動に時間が取れません。どうすればいいでしょうか?
仕事が忙しいと、どうしても5S活動は止まってしまいがちになります。
しかし、せっかく活動を進めて来ても、途中で止まってしまうと、なかなか元には戻りません。
5S活動を継続させていくためには、どれだけ小さな活動でも毎日続けていくことです。
忙しいときは、5分でも3分でもいいので、「5Sの時間」を作って続けてください。
短くても習慣にすることができれば、必ず成果が出て、業務効率があがり、しっかりと時間を作れるときがやってきます。
それまでは、とにかくハードルを低く毎日続けることが継続のコツです。
整理整頓を行っても、すぐに元の状態に戻ってしまいます。どのように維持すればよいですか?
元に戻ってしまう原因は色々あります。
まず、ポイントになるのが「維持できる仕組み」が作られているかどうかです。
ルールを決めても、忘れてしまったり、面倒で怠けてしまったりと、そのルールを守れないことが出てきます。
そんなとき「ルールを守らないこと」を責めてはいけません。
忘れたり、怠けてしまったりということは人間なので必ず起こります。
そんなとき、できなかった人にではなく、「なぜできなかったのか?」に注目して下さい。
忘れてしまうことが原因なら「どうしたら忘れないか?」を考え、忘れない仕組みを作りましょう。
怠けてしまうことが原因なら、面倒にならない仕組みや、無意識に行動してしまう仕組みを考えましょう。
これは5Sの中の「整頓」のプロセスにあたります。
ぜひ挑戦してみて下さい。
5Sの「躾」や「清潔」は、具体的にどのような活動をすればよいですか?
5S活動における躾と清潔は、その部分だけ何か活動するものではありません。
まずは最初の3S「整理・整頓・清掃」にしっかり取り組み、それが維持できたとき、社内が「清潔」な状態になります。
そして、清潔が浸透し、会社にとって当たり前の風土になり、それが、社員の「しつけ」につながります。
とにもかくにもまずは「整理・整頓・清掃」の3S活動を徹底して行いましょう。
キャビネットの扉は取り外すべきでしょうか?
キャビネットに消耗品などが入っている場合、扉を閉めてしまうと、中がぐちゃぐちゃでも気にならなくなってしまいます。
しかし、扉を取り外すことによって、扉のある状態よりも意識してモノを置けるようになります。
また、開いている方がモノが探しやすく、扉を開けるというアクションが1つ減るので、効率化、時間短縮にもつながります。
ただし、機密書類や高価なものが入ったキャビネットの場合はその限りではありません。
整理整頓して空いた棚スペースにモノが入れられないようにするには?
一番良いのは整理したらすぐに整頓(必要なモノを誰でもすぐに取れるようにする)で、モノの定位置をしっかり決めてしまうことです。
「これの置き場所はココ」という風に、定位置を決めて標示をします。
そうすれば要らないモノがまぎれなくなります。
もし人数がいれば、整頓をするチームと次の場所の整理を進めるチームで分担すると改善が進みます。
人がいない場合は、整理が終わったら先に整頓をやる。
「産廃日が近いので一気に整理をして要らないモノを処分してしまいたい」という場合は、『ここにはものを置かない』と表示を付けておきましょう。