5S活動とは
5S活動は、日本の製造業が発祥の取り組みで、特に大手の製造業などでは、厳しく指導されている会社が数多くあります。
それぞれの「S」には、以下のような意味合いがあります。
- 整理
必要な物と不要な物を分け、不要なものを捨てること - 整頓
必要なモノを、いつでも、誰にでも、すぐに取り出せる状態にすること - 清掃
ゴミや汚れがない、ピカピカの状態を維持すること - 清潔
上記の整理・整頓・整頓の3Sが保たれている状態 - しつけ
3Sを習慣化し、決められた事を守れる風土になっている状態
5S活動は単なる「お片付け、お掃除」の活動ではありません。
掲げて注意喚起を促すだけのスローガンでもありません。
この5S活動の特徴は、とにかく「徹底する」ところにあります。
「気がついたらやる」とか、「気を付けましょう」というような生易しいものではありません。
五つのSを、時間、労力、コストをかけて徹底的に実践していく。
これが5S活動です。
5S活動を徹底することにより、あなたの会社にとって様々なメリットが生まれてきます。
5Sとは?最初に知るべき5S活動の意味・目的と効果・メリット
5S活動が上手くいかない理由は経営者の姿勢にあった
会社に5S活動が定着する速度、つまり、社員の中で当たり前の活動として継続していける状態になるまでの時間はどれくらいか?というご質問を受けることがあります。
これは、会社によって全然違います。
5S活動のコンサルティングをさせて頂いていても、その速度はまちまちです。
早い会社様ですと、ほんの数ヶ月で、積極的に取り組んでくれる社員さんが出てきて、自分達で計画を立てて実行してくれるようになります。
逆に、遅いところですと、2年以上かかることもあります。
この差はどこにあるのでしょうか?
まず一つは、会社の風土で違いが出ます。
風紀であったり、人間関係であったり、コミュニケーションの取れ具合であったり、全体的な仕事に取り組む姿勢であったり、その会社がどんな空気かで、定着度合いに違いが出てきます。
また、傾向として、若い従業員の多い会社は、定着が早いことが多いです。
長く勤められている方ほど、ご自身のスタイルにこだわりを持っておられる方が多いので、新しいことを取り入れるのが難しくなってきます。
逆に若い方は、柔軟で受け入れも早いんです。
もう一つ、違いの出る大きな原因があります。
それは経営者様の姿勢です。
5S活動は「しつけのため」は間違いです
5S活動は「しつけのためだから」ということで、社員のしつけを目的に活動を取り入れている会社がありますが、これは要注意です。
よく5Sの「躾(しつけ)」の意味を誤解されている方がいらっしゃいます。
(5Sの「躾(しつけ)」って何?誤解されがちな「躾」の本当の意味とは)
5S活動は「躾」と称して押し付けるものではありません。
5S活動は基本的に全員で徹底して取り組み、それが習慣化したときに、会社の風土自体が変わっています。
身分・役職関係なく会社全体がルールを守れる風土。
この状態を5Sでは「躾」と呼びます。
よくQ&Aサイトなどで、5S活動の委員会に任命された若い社員が、
「5Sのスローガンを考えてこいと言われたのですが、考えつきません。何かよい案はありますか?」
と言った内容の質問をしているのを見かけます。
関係のない他人が考えたスローガンに何の意味もなく、こんな活動が絶対に上手くいくはずがありません。
「5S活動は教育だから、しつけだから」と、下の社員にだけやらせて、自分たちは見ているだけでは、活動は長続きせず、風土改革にはなりません。
「上司から5S活動を押し付けられた」その活動は今すぐやめましょう
5S活動の明暗を分ける経営者の姿勢
そこでまず重要なのが経営者の姿勢です。
経営者の姿勢が5S活動成功の鍵を握っているといっても過言ではないでしょう。
経営者が、5S活動の本当の意味を理解し、自ら率先して取り組んでいる会社は確実に5S活動が定着していきます。
反対に、経営者の方が5S活動をやる本当の意味がわかっていなかったり、社員にだけやらせておいて自分がちゃんと取り組んでいないような会社は、なかなか定着しません。
経営者と従業員の距離が近い中小企業ほど、それは顕著に表れます。
5S活動を行う上で最も重要なこと。
それは、決めたルールを全員できっちり守っていくことです。
守らない人が出てくると、積み上げた秩序は崩壊します。
そしてそれは、立場が上の人ほど影響力が大きくなります。
社員からしてみれば、
「社長が守ってないんだから、自分たちも守らなくてもいいよね」
という風に必ずなってきます。
また、「自分たちが取り組んでいるのに上の者たちがルールを破っている」という不満になり、活動がバカバカしくなってきてしまいます。
逆に経営者が率先して取り組む姿を見せていれば、
「社長がやっているんだから、やらないわけにはいかない」
と、社員たちはやらざるを得なくなります。
社長を含む全ての社員が、ひとつの例外もなく、小さなルールからきっちり守っていく。
これが会社の良き風土を形成していく元となるのです。
5S活動を成功させるには、トップの覚悟が何よりも重要だということです。
5S活動を成功させるために~まとめ
5S活動を成功させるコツは、
- 「全員参加で行う」こと
- 場当たり的ではなく、計画的に行うこと
- 活動を振り返り、改善策を話し合う機会を定期的に持つこと
- 全員でルールを決めて、それを役職や立場関係なく、全員で守ること
これらを前提に「整理→整頓→清掃」の3S活動を順番に徹底して行うことです。
繰り返しになりますが、重要なのは「徹底」です。
中途半端では、長続きしません。
成功するためには、経営者様の覚悟が必要です。
弊社でも、5S活動のコンサル依頼をお受けする時に、社長の覚悟をしっかり確かめてからお引き受けします。
定期的な集まりには社長様にもしっかり参加していただきます。
もし社長自身に「絶対に変える!」という覚悟や、参加の意思がないようですと、絶対に会社に浸透はしないので、その場合お断りさせて頂いています。
それほど、経営者の姿勢は、5S活動に左右するものなのです。
以上が、5S活動成功の鍵となります。
もし御社で5S活動に取り組まれる際は、ぜひ覚悟をお持ちになり、計画的に行って下さい。
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