5S活動を定着させるためには、単なる整理整頓の実践だけではなく、全員が同じ方向を向くための合言葉=スローガンが欠かせません。
スローガンは「なぜ5Sを行うのか」を一言で示す行動指針であり、社内のモチベーションを高め、活動を長く続けるための仕組みづくりにも直結します。
この記事では、実際に企業で使われている5Sスローガンの例や、効果的な作り方・数値化の工夫・現場への浸透方法までを整理して紹介します。FAQ形式でよくある疑問にも答えますので、自社でスローガンを考える際の参考にしてください。
5Sとは
5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字をとった職場改善の基本活動です。
職場環境を整え、安全や効率を高めるために、多くの業種で導入されています。詳しくは5Sとはの解説ページをご覧ください。
ここでは、その5Sを職場に定着させるために欠かせない「スローガン」について解説します。
5Sスローガンとは
5Sスローガンとは、整理・整頓・清掃・清潔・躾という5S活動の目標を一言で表した標語です。
職場の行動指針をわかりやすく示し、全員が同じ意識を持って取り組むための合言葉となります。
5S活動スローガン例
ここからは、弊社スマイルシステムサポートが5S活動の研修をさせていただいている会社様で、実際に出たスローガンの例をご紹介していきます。
無駄を減らす・なくしていこう系スローガン
まずは、5S活動でどんどん効率化を図り、時間の無駄をなくしていこうというスローガン。
「時間的ロス削減」
「目指せ!納期遅延ゼロ」
「5Sで職場を清潔にし、物を探す時間を半分に!」
「モノを探す時間をゼロに、定位置の徹底!」
「探すな!~タイム・イズ・マネー~」
5Sで作業効率を上げて時間の無駄をなくし、残業を減らしていこうというスローガン。
「効率UPで残業削減!!!」
「5Sで残業時間20%削減を目指そう!」
「目指せ5Sで残業時間50%減!」
「仕組を作って女性スタッフ残業0!男性スタッフ10%減!」
「3Sで残業を減らして社員満足度向上!」
「探し物時間全員で1日10分短縮!」
「目指せ!5Sで手直しゼロ!!」
その他、モノやコストの無駄をなくしていこうというスローガン。
「デッドストック、ゼロ宣言!」
「目指せ!年末捨てる物50%減!」
「3Sで3LESSへ~ミスレス、無駄レス、ペーパーレス」
「事務所ペーパーレス70%!除草100%!」
「整理整頓で消耗品の経費削減20%!」
「チームワークを最大限に活かし、不要品目30個減!」
ミスをなくす、クレームをなくすスローガン。
「3SでクレームZERO!!!」
生産性を高めていこう系スローガン
5S活動により作業効率を上げる、無駄をなくし、生産効率を高めていくことにフォーカスしたスローガン。
「5Sで作業効率50%UPを目指そう!」
「目指せ!5Sの率先・継続で検査数量5%UP!」
「目指せ5Sで経常利益30%UP!」
「5Sから始まる作業効率UP・工数削減」
「目指せ!5S活動で時間当たり平均3500円台!」
「誰が見ても綺麗と感じる状態を保ち、ものを探す時間をなくすことで生産金額を毎月100%達成する。」
「利益UPで給料UP!」
その他のスローガン・アラカルト
とにかく途中で活動が止まることなく続けていくという気持ちを表したスローガン
「継続できる5S」
「一人ひとりが毎日5分の5S活動」
自分たちが5S活動リードしていくんだという意識の高いスローガン。
「目指せ5Sで率先垂範、他部署の見本になります」
「どの班よりも5Sの進んだ班になる」
「事務所チームが全体の手本となり他のチームを牽引!」
顧客目線を意識したスローガン。
「丁寧、早く、安全第一に!」
「目指せ5Sで労災・事故0件」
顧客目線を意識したスローガン。
「お客様が一目で安心できる会社を作ろう!」
習慣を変えるスローガン。
「チョイ置き禁止!余計なモノを置かない習慣」
「丁寧、早く、安全第一に」
「後でやろうの気持ちを捨て、効率的で残業ゼロ」
「『ざっくりと』『とりあえず』の口癖やめよう!」
働きやすい職場を作ろうというスローガン。
「社内で5S活動を根付かせ、より快適な職場を作り出す」
「ルールを決めて、働きやすい環境づくり」
「5SでESC(エンジョイ・スマイル・クリーン)な職場づくり」
「作業台をキレイに使用し、夜勤の人が気持ち良く仕事できる職場作り」
「全社で取り組み、誰が見てもキレイだと思える職場を作る!」
「見える・はかどる・楽しめる会社を社員全員で作ろう!」
「おいしい!楽しい!働きやすい!」
人間関係を重視したスローガン
「チームワークとコミュニケーションを大切にしお互いに信頼しあえる職場づくり」
「焦らず・無理せず・怠らず!5Sでレッツコミュニケーション」
「5Sからルールを守り思いやりのある職場」
5S活動によって会社を物心両面から綺麗にしていこうというスローガン。
5Sで社内デトックス!
5S活動で会社全体が良くなることを考えた規模の大きなスローガン。
「日々人が変わる、会社が変わる5S活動」
「3Sを通じ、統一行動で次に渡せる環境と組織を作り出そう」
「安全で快適な職場環境を目指し、社員の意識向上と優れた企業風土作りに取り組んでいく」
「全社一丸の取り組みで5S活動を徹底、効率的で笑顔溢れる職場をつくる」
「5Sで一致団結、笑顔と活気あふれる日本一の企業になる!」
これらはすべて社員さんが、活動を行うグループごとで考えられたスローガンです。
そのままパクるのはやめてくださいねw
自分たちで考えていないスローガンはまったっく意味がないです。
ということでここからはどんなスローガンを作ればよいかを記していきます。
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5S活動スローガン/標語の作り方
誰のためのスローガンか?
5Sのスローガンは社内向けが基本。自分たちを鼓舞し、モチベーションを高める言葉として機能させます。
社内の合意形成を最優先に、「自分ごと化」できる表現にしましょう。
何を実現したいか?
「無駄をなくす/効率化/時短/生産性向上/作業を楽にする」など、実現したい状態を先に決めます。
その“実現したい状態は日々の行動”が結びつく内容にしましょう。
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スローガンはより具体的に
達成状況を測れるように数値を入れると、イメージが湧き、行動が見え、振り返りもしやすくなります。
上の例でも数値を含んだものが結構あります。
- 「残業時間20%削減」
- 「残業時間50%減!」
- 「女性スタッフ残業0!男性スタッフ10%減!」
- 「検査数量5%UP!」
- 「時間当たり平均3500円台!」
- 「生産金額を毎月100%達成する。」
数値がある方が、よりイメージしやすくなり、自分たちのすべき行動が見えやすくなります。
また、後で振り返った時に、実現したかどうかが明白で、フィードバックもできます。
「目的+数値+期限」で“やること”が明確になります。
事例
弊社が研修を担当させて頂いている企業様の事例を一つご紹介します。
この企業様の5Sチームが考えて下さったスローガンを実現させるための面白い仕組みの事例です。
「無駄な時間を300時間削減する」というスローガンを掲げて、その成果をしっかり計測し、実際に削減した時間を加算していくという仕組みで、おなじみのキャラクターを使って楽しく活動になっています。
目標が具体的に数値化されているので、成果がはっきり可視化され、より確実に実現できるようになっています。
言葉にリズムを
標語として覚えやすいように、要点を短く、語感にリズムをもたせます。
そのままの文でももちろんよいのですが、もし可能ならばよりインパクトがあって、覚えやすい言葉にしてみてください。
ポイントは言葉にリズムがあること。
だらだら文章を羅列するよりも、要点をぎゅっとまとめて、それをリズミカルに表現できるとなお理想的です。
例えば上の例ですと、以下はとても標語的でインパクトがあります。
- 「探すな!~タイム・イズ・マネー~」
- 「3Sで3LESSへ~ミスレス、無駄レス、ペーパーレス」
短く覚えやすく、現場で“口にされる”言葉に整える。
スローガンを現場に浸透させる運用手順
スローガンは決めただけでは形骸化してしまいます。「どう運用するか」まで仕組みにすることが大切です。
1. 5S専用掲示板に掲示
目的・数値目標・期限・責任者を明記したスローガンを掲示板に貼り出します。誰が見ても進捗や目標が分かるようにすることで、形だけでなく「自分ごと」として意識できます。
2. 朝礼や5S会議で確認・唱和
毎日の朝礼や定例の5S会議の冒頭でスローガンを唱和し、進捗状況を共有します。「何のために5Sをしているのか」を繰り返し確認することで、活動の軸がぶれません。
3. 月例でPDCA振り返り→更新
月に1回、活動の進捗を振り返り、スローガンの達成度を数値で確認します。必要に応じて改善策を追加し、次の月の計画を立てます。これにより、常に生きたスローガンとして現場に定着させられます。
FAQ: 5Sスローガンに関するよくある質問
Q. 5Sスローガンとは具体的に何を指しますか?
5Sスローガンとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけを進める際に「なぜ5Sを行うのか」を全員で共有するための合言葉です。単なる掛け声ではなく、職場改善の目的や方向性を一言で表すもので、活動の指針となります。
Q. スローガンはどのタイミングで作るべきですか?
活動を始める前に作るのが効果的です。全員で話し合って決めることで、スタート時から「自分たちの活動」という意識が高まり、継続しやすくなります。
Q. 誰がスローガンを決めるのが効果的ですか?
トップやリーダーだけで決めるのではなく、全員で考えて合意することが重要です。納得感がなければ「やらされ感」になり、形だけの活動になりがちです。
Q. 良いスローガンの条件や作り方の手順は?
「良いスローガンは、①誰のためのものかを明確にし、②何を実現したいかを具体的に表現し、③できれば数値目標を盛り込み、④リズムやインパクトのある言葉にまとめることが条件です。作り方は、まず『自分たちが何を実現したいか』を話し合い、その目標を具体的な言葉や数値に落とし込み、最後に短く覚えやすい表現に仕上げます。
Q. スローガンの適切な長さや言葉の選び方は?
長すぎると浸透しにくいため、短くて覚えやすい言葉が望ましいです。数値を入れると具体的になり、達成状況の確認もしやすくなります。さらにリズム感のある表現にすると、より印象に残りやすくなります。
Q. スローガンを現場に浸透させる効果的な周知方法は?
スローガンは社内向けの合言葉なので、掲示板や目につく場所に掲示するほか、朝礼や5S会議で繰り返し唱和すると効果的です。自分たちを鼓舞する言葉として日常的に使うことで、現場に自然と浸透していきます。
Q. スローガンが形骸化したと感じたときの見直し方法は?
「なぜこの活動をするのか」に立ち返り、もう一度みんなで話し合って作り直すのが効果的です。現場が共感できる内容にすれば「このためになら5Sを頑張れる」と思えるスローガンとなり、活動に再び活気が戻ります。
まとめ
色々ご覧になってイメージできましたでしょうか?
最後にスローガン/標語の要点をまとめますと
- 5Sで何が実現できるのか知る
- 5Sでどんな職場にしたいかを考える
- モチべーションの上がる内容にする
- 具体的な目標を言葉にする(数値目標を入れる)
- 可能ならが覚えやすくてインパクトのある言葉にする
こんな感じです。
ぜひこれらを参考に、あなたなりの5Sスローガンを生み出してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。