5Sの目的は、ムダをなくし、業務効率的上げて生産性を高め、安全で快適な職場を作ることです。
そしてさらに、みんなでルールを決めて、それを守れる社内風土に変えていくことが本当の目的です。
それを実現するために壊していかなければいけない壁があります。
それは、今あなたの会社の中に潜む悪しき風習、つまり「昔からのやり方」です。
5S活動のNGワード「うちは昔からこれでやってきたから」
5S改善活動は、まず現状分析をして問題を見つけ出すことから始めます。
そうして問題が見つけ出すことができ、いざ改善しようとしたときに、必ずこんな言葉が出てきます。
「うちは昔からこれでやってきたから」
これは、同じところに長く勤めている人ほど出てしまう危険な言葉です。
同じやり方を続けていると、それに慣れてしまうので、だんだんそれが快適に感じてきてしまいます。
人は潜在的に変化に抵抗してしまうので、慣れたやり方に固執してしまいがちです。
しかし、この昔ながらのやり方の中にこそ、ムダがウヨウヨよ潜んでいるんです。
ですので、「うちは昔からこれでやってきたから」が出てきたら要注意です。
もちろん、昔からのやり方でも良いものは存在するでしょう。
しかしそれは、本当に検証されて、本当に理に叶ったやり方なのでしょうか?
どこがどのように良いかと、理論的に説明できるでしょうか?
それができなければ、どこかにムダのある可能性が大いにあります。
改善活動は終わりがありません。
一度改善した箇所であっても、「もっと効率よくすることはできないか?」と、何度も改善を重ねて、よりベストな状態を模索しながら続けていくことが大切です。
そして、作業を誰がやっても同じ成果を出せるように標準化を徹底していくこと。
これが改善活動の重要な課題です。
5S活動反対派を動かすには
現状を変えることに抵抗のある人ほど、5S活動に反対の意思を示します。
5S活動を進める上で、このような反対派をどのように対処すればよいのでしょうか。
結論から言いますと「反対派は放っておく」です。
全社に5Sを浸透させるには全員参加が理想的です。
しかし、どうしても反対だという人は放っておきましょう。
なぜなら、外部の力で人を変えることはできないからです。
私たちはこれまで5S活動のお手伝いで、たくさんの企業様を見てきました。
そんな企業様のこれまでの統計でみると、5S開始段階での5S反対派の占める割合は1割、多くても2割程度です。
反対に推進派、モチベーションが高く率先して活動をリードしてくれる方の割合も1~2割くらい。
残りの6~8割はというと、「どちらでもいい」「やるなら着いていくけど」的なスタンスです。
これは、「2:6:2の法則」に当てはまります。
ここで焦点をあわせるのは、反対派ではなく推進派の方です。
彼らを味方につけて、活動を進めていくのが5S成功のポイントです。
徹底して5S活動を続けていくと、必ず成果が出てきます。
成果を実感し始めると「5Sはいい活動だ」と感じる人が少しずつ増えてきます。
そうやって徐々に中間層を取り込んで5S推進の味方を増やしていくと、いつしかそちらが主流派になってきます。
すると反対派もやらざるを得ない空気になってきます。
もちろん、そこまでいくにはかなり時間を要します。
でもそこまでいかなくても、反対派の人たちも、成果を実感して「あれ、意外に良い活動だな」と感じるときがきます。
すると少しずつ抵抗が少なくなり、参加してくれるようになってきます。
その時が来るまで、無理強いはせず、推進派の力を借りながら活動を進めていきましょう。
悪しき風習をぶっ壊す「動作経済の4原則」
悪しき風習である「昔からのやり方」に風穴を開けるためのヒントがあります。
それが「動作経済の4原則」です。
これは製造現場から生まれた考え方で、動作におけるムダの見つけ方のセオリーです。
4原則は以下の4点です。
- 動作の回数を減らす
- 両手は同時に使う
- 移動距離の短縮
- 動作を楽にする
1.動作の回数を減らす
一つの作業プロセスを細かく分解し、その中から「仕事の目的に何の役にも立っていない動作」がないかを探します。
そして、その作業のムダを極限まで削ったり、2つ以上の動作を同時にはできないか?と考えて、最善の方法を生み出します。
2.身体部位を同時に使う
作業中に、片方の手が遊んでいたり、一方の手の援助をしているだけという動きがないかを探します。
そういった動きにたいして、両手を使ったり、足も使ってできる作業方法がないかを考えます。
つまりこれまで使われていなかった手や足に付加価値を与えられないかという考え方です。
同時に両手を使って、より能率が上がる方法がないかを探ります。
3.移動距離の短縮
作業中に、余計な歩行がないか、余計に手を伸ばさなければいけない状況がないかを探します。
これに対して、最小限の可動域で取れる範囲でのレイアウトを考えます。
そして、使用頻度や、重さ、取り出しやすさを考えて、モノを配置します。
4.動作を楽にする
かがんだり、振り返ったり、背伸びをするなど、身体的にストレスのかかる作業がないかを探します。
それらに対して、姿勢や動き、重たいモノを運んだりする際などの、身体への負荷を最小限にできないかを考えます。
また、感性、重力、反発力など、自然の力を利用して作業を楽にできないかを考えます。
以上の4つのヒントを用いて、「これまでのやり方」を検証しましょう。
必ずよりよい方法が見つかります。