5S活動研修をしていると、いろいろな悩みを抱えた経営者の声が聞こえます。
その中でも、よく聞くのが「5S活動を何年もやっているが定着しない!」という言葉。
そのお話を詳しく聞いてみると
- 5Sリーダーのみが活動していて、他の社員は意識が薄い
- リーダーも業務に追われていると忘れてしまっていることが多く、仕組化されていない
- ルールを決めても守らない人がいて、いつのまにかそのルールがなくなってしまっている
という原因で定着していないことが多いようです。
あなたの会社では、どうですか?
自然で当たり前の活動になっていますか?
社員が自主的に5S活動に取り組むための方法
社員全員が5S活動を自分の問題として、自主的に考えて取り組んで、「当たり前の活動」として習慣化するためにはどうすればいいのでしょうか。
それはズバリ「全員参加の5S会議でPDCAを回す」です。
それでは、どのような会議を行っていくのか、ポイントを説明していきます。
1.原則全員参加
会議は月に一度、社員全員で集まって開催します。
全員というのは、役職関係なく全社員です。
弊社のコンサルでは、原則社長様も参加していただいています。
5Sリーダーだけの会議では、やはり人ごとになってしまい、その他の社員が問題点に気づいたり改善策を考えたりということができません。
しかし、全員参加を原則とし、意見交換を重ねると、だんだんと自分の働く環境に「気になること」が増えて、意見が出てくるようになります。
このとき注意していただきたいのが、上司の方は若い方の意見を聞き出し、それに対して否定をしないことです。
「社員から意見がでない」とよく聞きますが、それは社員さんが意見を言うことに慣れていないからです。
せっかくの意見も頭ごなしに否定されてしまうと、委縮してますます出なくなってしまいます。
5S活動での失敗は会社にとって特に痛手にはならないので、この機会を利用して若い人に、間違っていてもどんどん発言するという経験をさせてあげることが大事です。
失敗してもまた考えて改善して成功へつなげる、この成功体験が社員の自信になり、自主性を高めます。
そして、会議では、部署をシャッフルした固定の小グループを作り、毎回意見を交わすようにします。
この会議を繰り返すことによって、部署間のコミュニケーションが取りやすくなるというメリットがあります。
2.全員で活動を振り返る
この会議では、毎回これからの1ヶ月にどのような活動をするのかの計画を立てます。
そして、それに取り組んだ成果を、各部署ごとに報告するようにします。
弊社コンサルでは、毎回部署ごとにビフォーアフターの写真や、取り組んだ感想・成果などを書いた報告資料を作成していただき、毎回プレゼン形式で報告をお願いしています。
こうすることで、全社員に活動をシェアすることができ、よいアイデアがあれば他部署でも取り入れられたりと、相乗効果が得られます。
また「部署対抗」という形になりますので、頑張っている部署があれば、活動の進んでいない部署に焦りが出て、モチベーションを上げることができ、お互いに刺激し合うことができます。
このとき社長や上司の方にお願いしたいのは、社員の頑張りをしっかり認める・褒めるということです。
この認める・褒めるという行為が、社員の承認欲求を満たし、自信となり、「もっと今度はこんなことがしたい」と、自主的に考えてもらえるようになっていきます。
3.全員社内点検を行なう
毎回会議の時に、全社員で社内を点検し、整理、整頓、清掃、安全面、効率面などをチェックします。
その後、点検で気づいたことをグループで1人ひとり意見を出し合い発表します。
この点検を繰り返すことで、感性が磨かれ「気づき」が増えます。
それまで「気にらなかったことが気になる」ということが増えてくるんです。
これが次の改善につながり、5S以外の業務のことへも良い影響を及ぼします。
この点検で気づいたこと、意見されたことを、部署ごとで次の改善点として話し合い、翌月の計画を立てる。
これで、計画・行動・反省・改善のPDCAを回していくことができます。
まとめ
会議の流れをまとめますと
- 各部署から一ヶ月の5S活動を報告
- 全員で社内点検を行う
- グループごとに社内点検での気づきを共有
- どのような気づきがあったかをグループごとに発表
- その意見を基に部署ごとに改善策を考える
- 次回の会議までの一か月間の活動の計画を立てる
これで実際に活動に取り組み、翌月に会議を開催する、といった流れです。
最初は、腰が重いかもわかりませんが、継続していくと必ず頑張ってくれる人が現れます。
その頑張ってくれる人に引っ張られる形で、活動が活性化してきます。
これが習慣化すれば、5S活動に限らず業務全般で問題が起きたときに、「みんなで改善策を考える」ということが自然にできる風土に変わっています。
なかなか大変だと思いますが、弊社が研修で採用しているとても手堅い方法です。
まず、「全員参加」を前提に活動に取り組んでみて下さい。