5S活動(3S活動)を継続できている会社でも、2種類のタイプがあります。
それが「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」です。
トップダウン方式の会社は、経営者が模範となり、率先してルールを決めて5S活動を進めるやり方。
対するボトムアップ方式の会社は、社員全員で話し合い、試行錯誤をしながら5S活動をするやり方。
どちらのパターンの成功例があり、どちらが正解でどちらが間違っているというのは言い難いです。
ですが、私たちは後者の「ボトムアップ方式」をお勧めしております。
それは、ボトムアップで行う5S活動の方が、圧倒的なメリットがあるからです。
ボトムアップ方式での5S活動のメリット
ボトムアップ方式をすすめる理由は、「社員の自主性を育むことができるから」です。
対してボトムアップ方式の場合、定期的に集まって、会議を開き、計画を立てたり、ルールを作るなどを社員に任せ、社員主導でやるようにします。
「5S活動を習慣にする」というよりも、「自分たちで考えること習慣にする」と言い換えられます。
こちらの場合、最初はやらされ感があるかもしれませんが、自分たちが変えたいと思ったところを、自分たちで考え、自分たちで改善していくので、その成果が出たときに達成感が生まれます。
また、同じルールを守るにしても、「上が決めたルール」を守るのと、「自分たちで決めたルール」を守るのとでは、気持ちの入り方が違います。
そうやって5S活動にある程度の権限を与えられ、責任を持ち、自分たちで改善して、成果を出す、ということが成功体験となり、それが社員さんの自信になります。
それが評価されると承認欲求が満たされ、さらにモチベーションが上がります。
そして次第に、5S活動以外の仕事のことでも、自分で考え、アイデアを出したり、意見が出せるようになってくる。
ボトムアップ方式の5S活動には、このようなメリットがあり、社員の自主性を高めるという目的のために5S活動を取り入れる会社様もあるほどです。
5Sをトップダウンで行うデメリット
トップダウン方式で行うと、上記のようなボトムアップで行ったときのような効果は得られません。
トップダウンでも5Sを社内に浸透させ、習慣にすることができます。
それは強制力を働かせることを意味し、いつまで経っても社員の中に「やらされている」という思いが残ってしまい、モチベーションが上がりません。
トップダウンでは、常に与えられものをこなすという形になり、社員が主体性を働かせ、自分で考えて行動するための訓練としては機能しません。
また、従業員同士の連携や、コミュニケーションの活性などにも繋がっていきません。
トップダウン・ボトムアップの両方の5S活動で共通する大事なこと
どちらの方式で行うにしても、5Sが社内に浸透して継続している会社には共通点があります。
それは、「長がしっかり率先して模範となっていること」です。
トップダウン方式の5Sの場合、社長や上司が口で言うだけではなく、自分自身も実践して手本となっているところは、社員に共感を呼び、社員にも浸透していきます。
そしてボトムアップ方式の場合でも、みんなで決めたルールを社長が率先して守り、遂行しているところは、社員のモチベーションも維持され、活動が継続します。
そのため、私たちがコンサル契約をさせて頂くときも、その会社の社長様には必ず、「まずは、必ず社長から実践してください。」と伝えています。
それが無理そうだと判断した場合は、お断りすることもあります。
それほど社長の姿勢は重要です。
例えば、せっかく会社をよくするために考えて決めたルールも、社長が破ってしまうと、頑張ろうとしていた社員のモチベーションがダダ下がりです。
信頼度も薄らいでしまいます。
「社長だから例外」ではなく、社長も上司も一般の社員と一緒になって実践していくこと。
それが、この活動のキーになります。
これは、5S活動に限ったことではありません。
何でも「やる!」と決めたことは最後までやり通すという経営者の姿勢は、社員の姿勢にも大きな影響を与えます。
社長が変われば、社員が変わる。
社員が変われば、会社が変わる。
あなたは社員に背中を見せられてますか?