整理整頓の苦手な上司が、部下に職場の片付けを押し付けることは、よくあります。
しかし「費用はかけるな」と言う。
そうは言われても、スペースにも限界があり物理的不可能。
まるで無理問答のよう。
これは一休さんのようにとんちで返すしかないのか?
ちょっと待ってください。
それは、根本的に「整理」というものを誤解しています。
整理とは
「整理整頓」とか「整理収納」という言葉を聞くと、
「綺麗に収める」「見栄えよく片づける」
おおよそこんなイメージをお持ちではないでしょうか?
でも、これは大きな間違いで、片付けができない大きな理由の一つです。
これは職場でもご家庭でも同じです。
片付けにおける「整理」にはしっかりとした定義があります。
整理とは、
です。
職場で取り組まれる5S活動(3S活動)では「要るモノ」「要らないモノ」に加え「急がないモノ」とに分類します。
これは、作業効率などにも重点を置いているからです。
ポイントは、まずしっかり所有している全てモノを把握すること。
そして、徹底的に処分することです。
「限られたスペースにいかに詰め込むか?」という戦いではなく、「モノと向き合うこと」が整理の本質です。
まずは整理から始めましょう
おそらく、整理整頓しろと押し付けてきた上司も、「使いすく綺麗に収めろ」という意味合いで言っておられるのだと思います。
しかし、上記のように本当の意味での整理が出来ていなければ、「無駄な片付け」は永久に続きます。
仕事を快適に行うには、まず整理からが基本です。
先ほど出てきました職場で取り組まれる「5S活動」は「整理・整頓・清掃・清掃・しつけ」の活動。
この5S活動でも、まず「整理」から取り組みます。
要るモノと要らないモノが混在した状態では、それだけで色んなムダが発生してきます。
これは物理的な物に限らず、情報でも同じです。
ですので、まずは整理から始めていきましょう。
整理のステップ①分類する
整理したい棚や物置のモノを全て引っ張り出して、「要るモノ」と「要らないモノ」に分類してください。
自分では判断できないモノは、上の人に聞いて下さい。
やってみると分かると思いますが、普段から整理できていない場所からは「要らないモノ」が必ず出てきます。
こういったモノは、許可をもらってどんどん処分して行きましょう。
整理のステップ②保有期限を設ける
整理を進めて行くと、「今は要らないけど、この先要るかもしれない」というものも出てきます。
また、「どう考えても要らないモノだけど、上司が置いておきたいと言っているモノ」も出てくるでしょう。
こういった微妙なモノは、期限つきで保管しましょう。
「上司が置いておきたいモノ」も、可能ならば交渉して期限を決めてもらいましょう。
そして、それらのモノには赤札を貼ってください。
「いついつまで保管する」「誰が責任者か」というのを明確にして、対象のモノに貼り付けておきましょう。
複数ある場合は、できるだけ一箇所にまとめるようにしてください。
もし、その場所より使用頻度の少ないものを入れられる場所(納戸・倉庫)などにスペースがあれば、移動させてもいいかも知れません。
よく使う棚には、よく使用するモノだけ置くようにするのが理想です。
整理のステップ③捨てる基準を決める
ここまでで整理の作業は終わり。
かなりモノが減ってスッキリしたものと思います。
ですが、放っておくとモノは勝手に増えていきます。
「これ以上増やすまい」と思っていても、必ず増えます。
そうならないために必要なのが「捨てる基準」です。
これは、一人で決めることができないので、そこで働いている人みんなで話し合う時間が必要です。
そこで、
- どういう状態になったら捨てる
- どれくらいの期間使わなければ捨てる
- どれくらいの量になったら捨てる
などの基準を決めて行きましょう。
これをきっちり表などにして、掲示板などに貼って全員が守れるようにしましょう。
ここまですれば、今後無駄にモノは増えず、「整理」という作業は必要なくなります。
整理が終わったら次にやっと「整頓」のプロセスに入っていきます。
整頓とは
整理整頓と一言で言ってしまいますが、「整理」と「整頓」には違いがあり、しっかりと意味があります。
5S活動(3S活動)における「整頓」の定義は、
です。
あるものを綺麗に収めることではなく、職場の場合は特に「使いやすくする」ことが大事です。
モノの使いやすさは、能率や生産性に関わってきますので、何かを生み出す場ではとても重要な要素です。
整頓のプロセスはわかりやすく3つのステップにまとめました。
[定位置 → 適正量 → 標示]です。
整頓のステップ①定位置
何をどこに置くかのモノの定位置を、取り出しやすさ、動線などの利便性を考慮しながら決めていきしましょう。
「これの置き場はここ!」とルールを決めてしまえば、探しモノはなくなります。
またこのとき、置き方(向き)もポイントです。
「はさみは柄の方を手前に置く」など、みんなが当たり前だと思っているようなこともキッチリルール化しましょう。
皆にとって使いやすい置き場所、置き方がルール化されれば、とても作業が快適になります。
整頓のステップ②適正量
特に数が複数あるものなどに対しては、量もきっちり決めましょう。
普段の使用量を計算して、どれくらいが適正な量なのかを割り出し、それをキープできる仕組みを考えましょう。
消耗品などは、発注の仕組みなども作ってしまい、誰でもできるようにすれば、無駄がなく、とても効率的になります。
整頓のステップ③標示
定位置・適正量を決めたら、仕上げに標示・ラベリングをしましょう。
あまり小さすぎるの見えにくいので、パッと見て識別できるように。
誰が見ても一目で分かるように工夫して下さい。
キャビネットなどで、フタ・扉がある場合は、取り去ってもらうのが理想です。
中が見えない状態ですと、乱れがちになってしまう上、中のモノが把握しにくいというデメリットがあります。
どうしてもというものを除いては、扉は外してしまいましょう。
扉を外さない場合は、中に何が入っているか、なるべく外から分かるように標示をしてください。
まとめ
最後にもう一度おさらいです。
職場の整理整頓を始める時は
②微妙なモノには期限を決め、赤札を貼っておく
③捨てる基準を決める
④定位置を決める
⑤適正量を決める
⑥標示をする
この順序で行ってください。
そうすれば、職場はとても快適になるのを実感していただけます。
一箇所がコンプリートしましたら、他の場所にも展開して、どんどんと整理整頓の輪を広げていってください。