今回は「社員が自主的に動かない理由とその解決法」についてご紹介します。
社員が自主的に動かない理由は様々あると思いますが、その中でも重要な「上司の考え方と発言」についてです。
弊社では、いろんな会社様に5S活動の研修に行かせていただいているのですが、、その中のある会社の話です。
その会社は社員さんが5S活動を頑張っていて、研修させてもらっている側から客観的に見ていると少しずつ一人ひとりの成長が感じられるようになっていました。
ところが、社長さんの見方は違っていました。
社長さんが私にポロっとこぼした言葉は
「まだまだ活動できてないですね。もっとがんばるように社員に言わないとダメですね」
でした。
この発言はとてもNGです。
経営者がこのように「社員の頑張りが足りない」という、社員のせいにした考えを持っているうちは、社員さんは自主的には育ってくれません。
この考え方が良くない理由は第一に、「社員さんが頑張っている姿が見えていない(見ようとしていない)こと」。
第二に、「結果だけを見て強制的にやらせようとしていること」です。
こういった考えの基で5S活動を進めて、仮に成果が出たとしても、でもそれは表面的な成果のみ。
社員さんの中では、いつまで経っても「やらされている」という感覚のままです。
大事なのは「成果を評価すること」です。
評価のための「マズローの5段階欲求」
人間の行動の根源には「5段階の欲求」があるという説があります。
それが「マズローの5段階欲求」という説です。
これは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した理論で、「人間の欲求は、5段階のピラミッド状に構成されており、低い階層の欲求が満たされると、より高い階層の欲求を欲するようになる」
という考え方です。
生理的欲求
一番下が「生理的欲求」食べたい、眠りたいなど、人間が生存するための本能な欲求です。
安全欲求
生理的欲求が満たされると、次の欲求「安全欲求」に上がります。
安全欲求とは、危険を避けて、心も体も安全で、安心できる状態にいたいという欲求のこと。
職場で言うと、安全に最低限の生活費は稼ぎたいという欲求です。
社会的欲求
「安全欲求」が満たされると、次は「社会的欲求」に上がります。
「社会的欲求」は、家族・集団に属したい、仲間が欲しいという欲求です。
職場では、上司や仲間に受け入れらたいという欲求。
これが満たされないと、孤独感や社会的不安を感じまてしまいます。
承認欲求
「社会的欲求」が満たされたら、次は「承認欲求」に上がります。
「承認欲求」は、他者から認められたい、尊敬されたという欲求。
職場では「仕事を評価されたい、上司に認められたい」という欲求になります。
自己実現欲求
「承認欲求」が満たされると、最後の「自己実現欲求」に上がります。
「自己実現欲求」は、自分の持てる能力を発揮して、何かを生み出したい、何かを達成したいという欲求です。
職場では「自分の力を発揮してプロジェクトを達成したい、会社に利益をもたらしたい、といった欲求になります。
社員さんが抱く欲求を上手に満たす
多くの社員さんが4番目の「承認欲求」を抱いていて、そこが満たされると今度は自主的に何かを生み出そうという気持ちが芽生えてきます。
最初の会社の例で言うと、社員さんが出した成果に対して、些細なことでも評価することがとても重要で、それが社員さんの自主性を上げる大きなきっかけになります。
先程の社長さんのような「まだまだできてない、もっと頑張らせないとダメ」という考え方は、社員さんのやる気を削いでしまう、まったく逆効果になる考え方です。
ここで経営陣の方に意識していただきたいのは、社員さんの頑張り(プロセス)をしっかり評価してあげることです。
評価といっても難しいものではなく「よく頑張ってくれているね、ありがとう」という些細な一言で十分です。
それだけで社員さんは、自分のやっていることが認められている(やっていることに意味がある)と認識できるようになり、「じゃあもっと頑張ろう」という気持ちが芽生えてきます。
これを積み重ねていくと、どんどん社員さんに自信がつき、意欲的に活動を進めてくれるようになります。
最終的には、自分たちの職場を自分たちで改善できるようになり、普段の仕事でも意見や提案をしてくれるようになってきます。
社員さんを評価するためには、社員さんの頑張りをしっかり観察する必要があります。
その頑張った成果に対して、評価をしてあげて下さい。