病院・医療現場における5S

病院・医療現場での5S活動「整頓」の意味と進め方

病院医療現場の5S整頓

今回は、病院・医療現場・介護現場における5S活動の「整頓」について解説します。

 

5S活動とは「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の活動の略。

5S活動を始めるときはまず「整理」を行なって、要らないモノを徹底的に処分することから始めてください。

病院・医療現場での5S活動「整理」の意味と進め方

この整理が終わったら、今回の整頓に進みます。

 

病院・医療現場における5S活動「整頓」とは

整頓とは、「必要なものをいつでも、だれでも、すぐに取り出せるようにすること」です。

病院や介護施設などの職場では、複数の人で共有しているモノも多いです。

そういった共有のモノを使った後、人によって戻す場所が変わっていたら、その都度探し回らなければいけません。

整頓は「常に全てのモノを誰でも迷いなくすぐに使える状態」にしていく活動です。

 

大事なのは誰でもができること

代わりの人や、今日入ってきたばかりの職員さんでも一目で判る状態にすることです。

大きな病院ほどスタッフの入れ替わり多くなりますので、このような仕組みはとても重要です。

 

誰でも一目でわかり、何をどこに戻すかすぐにわかる仕組みを作っていけば自然にモノが管理され、スタッフが入れ替わるたびに一つひとつ場所を教えるという手間もなくなります。

作業もどんどん効率化して、イレギュラーな事態でもスムーズに対応できるようになります。

また医療事故の原因になる取り違えなどのミスもなくなっていきます。

 

「整頓」で大事なのは「綺麗かどうか」ではなく「効率的かどうか」です。

毎日の作業を1日1分短縮しただけで、仮に月の稼働日数を22日間とした場合、1分×22日×12カ月で約2時間半の短縮になります。

1日10分の短縮だと年間で44時間短縮できます。

たかが数秒の短縮でも、積み重ねていくと多くの時間のムダをなくして、残業なども減らしていくことができます。

 

医療介護の現場ではよく「誰かが持ち出した文具が戻っていない」という話を聞きます。

そういった些細な探し物が、業務効率を下げて残業の原因を作り出しています。

 

また探し物に時間をとられている時はイライラしていることが多くなります。

そういった状態では集中力も損なわれ、ミスも起こりやすくなってしまいます。

 

整頓は、こういったムダや非効率、ミスの原因を徹底的に排除して、楽に素早く快適に業務できる環境を作っていく活動になります。

 

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病院・医療現場における5S活動「整頓」の進め方

では病院・医療・介護施設などにおける5S活動の「整頓」の具体的な進め方とコツをお伝えします。

 

私たちスマイルシステムサポートの5S研修では、「整頓」3Sつのステップで行うように教えています。

それが定位置・適正量・標示の三つです。

ではひとつずつ見ていきましょう。

<定位置>

1つ目は定位置。すべてのモノに住所を決めていくことです。

探しモノが起こる原因は、定位置が決まっていないことです。

 

みんなで使っているモノの戻す場所が人によって違ってしまうと、その都度あれがない、これがないと探し回って時間をムダにしたり、誰かに聞いて、その人の時間や集中力を奪ってしまうことになります。

病院・医療現場の5S探し物

また患者さんを待たせることにもつながります。

 

 

みんなで一つひとつに定位置のルールを決めるだけで探しモノは減っていきます。

ボールペン1本でもしっかり定位置を決めましょう。

 

定位置を決めるときは、どのように置くと取り出しやすいかを考え、向きや置き方も考えてください。

手に取ってたら使える状態が理想です。

方向が逆だと「持ち変える」というムダな動作が生まれてしまいます。

起き方次第で作業効率が大きく変わりますので、いかに素早く使えるか工夫してみてください。

 

 

まずは「いつも戻ってこないモノ」「よく探してしまうモノ」から、みんなで話し合って決めていきましょう。

 

定位置を決めていくと「ちゃんと定位置を決めたのにモノが戻ってこない」ということも起こってきます。

これには色んな原因があります。

  • 定位置が戻すのが面倒くさい場所にある
  • 使用頻度に対して数が足りていない
  • 定位置がおおまかなので結局紛れしまう
  • 定位置を一部の人しか把握していない

などです。

戻ってこない場合は、まずなぜ戻ってこないのか原因を追究してから改善してください。

 

大きな病院の場合はスタッフの入れ替わりも多いですが、すべて部署で置き場所、置き方のルールが統一されていると、異動があってもスムーズに業務ができるのでとても理想的です。

<適正量>

整頓のステップ二つ目は「適正量」です。

一つひとつのモノの適正な量を決め、それを一定に維持できる仕組みを作って、過剰在庫や不足を無くしていきます。

 

消耗品の場合、セット買いで送料がお得になったりすると、ついつい大量買いしてしまうことがあります。

でもいくら必要とはいえ、量が多いとその分有効スペースを奪ってしまいます。

管理も大変になってくるし、先買でキャッシュフローの悪化も生んでしまいます。

 

また医療・介護現場の場合、物品在庫を過剰にストックしてしまうと、期限切れになったり、ホコリがたまってしまうなど衛生面でも問題があります。

そういった問題を無くすためにも、一つひとつのモノの適正量を算出して、それを維持する仕組みを作っていきましょう。

 

適正量はまず「一ヶ月分の使用量」を調べて、それを基準に決めていってください。

消耗品の場合は発注から納品までのリードタイムも短いので、1か月分以下の在庫量を維持するのが理想です。

 

弊社が5S研修をさせていただいている会社様では、この適正量の改善だけで年間約60万円の経費削減につながったという事例もあります。

それほど量の見直しは重要です。

<標示>

整頓のステップ三つ目は「標示」です。

標示は、「それが何か」「何をする場所なのか」誰でもすぐにわかるように行います。

 

定位置や適正量をちゃんと決めたとしても、病院内で知ってる人と知らない人がいるような状態では、いつの間にかルール破られて整頓を維持することが難しくなります。

そうならないためにも、全てのモノに名前を標示していきましょう。

定量を決めたモノには、定量も標示しましょう。

 

そしてモノと置き場所が対になるように、置き場所の方にも標示するようにしてください。

ファイル書類整理

同じ器具や医療機器が複数ある場合は、色分けを使ったり、ナンバリングすることで必ず同じものが同じ位置に戻ってくる仕組ができます。

また、標示のルールも全部署で統一すると、スタッフが入れ替わってもわかりやすくなります。

 

床に引く区画線や、注意喚起の看板なども標示に含まれます。

安全で効率的にするという観点から、標示を見直していきましょう。

 

整頓をするとき、標示は簡単にできる作業なのでなのでついつい先にやってしまいがちですが、まずしっかり定位置、定量を決めてから標示を行なってください。

 

以上の3つのステップで「整頓」の完了です。

これを使って一つひとつのモノを整頓していくことで、職場は確実に効率的になっていきます。

まとめ

整頓とは「必要なものをいつでも、だれでも、すぐに取り出せるようにすること」。

整頓は次の3つのステップで行います。

  1. 定位置(すべてのモノに住所を決める)
  2. 適正量(1カ月の使用量を目安に定量を決め、発注の仕組みを作る)
  3. 標示(定位置・適正量が決まったモノから、モノと置き場所に標示する)

整頓は必ず先に「整理」をして要らないモノがなくなってから始めてください。

要るモノと要らないモノが混在した状態では、本当に効率的な状態にはできません。

 

そして整頓が終わったら次の「清掃」に進んでください。

 

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  • この記事を書いた人

(株)Smile System Support

全国で5S活動研修・セミナー・コンサルティング・講演活動を行っています。5S活動を通して社員一人ひとりが自ら考え行動する組織を作るお手伝いをしています。

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