病院・医療現場における5S

病院・医療現場での5S活動「整理」の意味と進め方

病院医療現場の5S整理

今回は、病院・医療現場・介護現場における5S活動の「整理」について解説します。

まず5S活動とは、「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」5つの頭文字を取って5Sといいます。

病院・医療現場における5S活動の意義と目的

5Sは上記の順番で行っていくことが大事です。

その中で一番最初に行うのが「整理」です。

 

病院・医療現場における5S活動「整理」とは

整理とは「要るモノ、要らないモノ、急がないモノを分けて、要らないモノを徹底的に処分していく活動」です。

 

「整理」と聞くと、「モノを分類して正しく収める」というイメージで取られられ勝ちですが、そうではありません。

大事なのは要らないモノをしっかり「処分」することです。

 

モノは処分していかないとどんどん溜まっていきます。

それはご家庭でも、病院や施設でも同じです。

そしてモノが溜まってくると、職場の有効スペースはどんどん狭くなっていきます。

 

「整理」のあとは「整頓」で、モノを使いやすい状態に配置していきます。

そのとき要るモノと要らないモノが混在していると、本当に使いやすい状態にすることはできません。

 

そしてモノが過剰にある状態だと、一つひとつのモノが大事に使われなくなっていきます。

 

職場を快適にしていくにはまず整理で、要らないモノを徹底的に処分してください。

次の整頓に進むのは、整理が完全に終わってからです。

要るモノ、要らないモノ、急がないモノの区分

それでは、「要るモノ」「要らないモノ」「急がないモノ」の区分について説明します。

 

「要るモノ」とは、日々頻繁に使用しているモノです。

医療現場の場合、これらはしっかり管理されていることと思います。

 

次に「急がないモノ」は、半年に一回や、1年に1回など、使用頻度が低いけど必ず使うモノです。

病院の場合は出番の少ない機器など、介護施設の場合レクリエーション用品などがそれにあたります。

 

最後の「要らないモノ」は、今後使用しないモノ、壊れているモノです。

この要らないモノは、自分たちの判断で処分できず、倉庫に眠っていることがよくあります。

また患者様からいただいたお手紙や作品なども思い出の品としてなかなか捨てられないのですが、こういったモノも要らないモノに含まれます。

 

職場には捨てたくても捨てにくい・捨てられないモノがたくさんあります。

これらを整理していくには、「要る」「要らない」「急がない」の基準を最初にきっちり決めることが重要です。

 

まずはスタッフみんなで話し合って基準を決めて、「要らない」と判断したモノは徹底的に処分。

職場を必要なモノだけの状態にしていくことが理想です。

 

病院・医療現場における5S活動「整理」の進め方

病院・医療、介護施設における5S活動の「整理」の具体的な進め方とコツをお伝えします。

ここまで整理は処分することが重要だとお伝えしてきましたが、そうは言っても職場のモノをスタッフの判断で勝手に捨てることはできません。

そこで行っていただきたいのが「赤札作戦」です。

赤札作戦

赤札作戦とは、不要なモノを見える化する5S活動の整理手法です。

 

まずはこのような「赤札」を用意してください。

赤札

当ブログでもダウンロードできます。

 

この赤札をスタッフ全員で職場にある「要らないかも」と思うものにどんどん貼っていってください。

こちらは弊社が研修を行っている企業様の事例です。

エムジェイテック様 赤札作戦

このように赤札を貼っていくことによって今まで見過ごされていた不用品が見える化することができます。

 

赤札を貼るときは必ず処置期限を設定してください。

そして期限が来たら処分をするのですが、誰が最終判断をするのかという判断者も予め決めておきましょう。

そうすれば今後はすべてを上司に聞かなくても、職員の判断で処分できるようになります。

 

もし赤札を貼っていたモノを使用したら、赤札は外して「急がないモノ」に区分し、必要な時にすぐに使えるように管理します。

 

これを繰り返していくうちに、会社の中は「必要なモノ」のみになり、とても快適で効率のいい職場になっていきます。

病院や施設の場合、倉庫に不用品やあまり使わないモノが眠っていることが多いので、まずはそこから取り掛かってみてください。

捨てる基準を決める

赤札作戦が済んだら、今後要らないモノが増えないように「処分の基準」を決めておきましょう。

  • 週に一度以上使うモノは「要るモノ」
  • 年に一度以上使うものは「急がないモノ」
  • 一年以上使っていないモノは「要らないモノ」

というように一つひとつのモノに基準を決めていくと、スタッフで判断できるのでモノが増えにくくなります。

大事なポイントは例外を作らないことです。

 

たとえば「これは特別だから」と上司の方が例外を作ると、そこからルールが崩れてだんだんと守られなくなってきます。

例外が出てしまうときは、ルールの方を変更してください。

 

5Sの基本は『みんなでルールを決めて、みんなで守ること』です。

これが最後の「躾」に繋がり、安全、チームの連携、サービス向上などに貢献していきます。

決めたルールは、掲示板に貼るなど周知徹底して、必ずみんなが守れるようにしていってください。

電子化のススメ

現在どの業界でも書類の電子化が進んでいます。医療業界でも電子カルテが一般化してきています。

モノを減らすため、また業務効率化、セキュリティ強化のためにも、書類関係はなるべくデータ化して紙媒体を減らしていくようにしましょう。(電子カルテ導入で期待される効果)

 

まとめ

整理とは「要るモノ、要らないモノ、急がないモノを分けて、要らないモノを徹底的に処分していく」こと。特に重要なのは「処分すること」。

整理は以下の手順で行っていきます。

  1. 整理はまず「赤札作戦」を行い、不要物を見える化する。
  2. 期限・判断者を決めて、それに沿ってモノをどんどん処分していく。
  3. モノ一つひとつに処分のルールを決める

整理が終わったら次は、整頓に進んでいきます。

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  • この記事を書いた人

(株)Smile System Support

全国で5S活動研修・セミナー・コンサルティング・講演活動を行っています。5S活動を通して社員一人ひとりが自ら考え行動する組織を作るお手伝いをしています。

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