【病院の5S】病院・医療現場における5S活動の意義と目的

2021年3月17日病院・医療現場における5S

医療現場における5S活動

今回は病院・医療現場における「5S活動」についてお伝えします。

 

まず「5S活動」とは様々な職場で行われている改善活動で、モノの整理・整頓から始まり、職場の様々な問題を解決していく活動です。

そもそもは製造業から始まったのですが、業務効率化、安全対策、チームワークの向上など、どの職場にでも効果があるため、今では世界の病院・医療機関で注目され、取り組まれ始めています。

とはいえ医療従事者の方の中でもまだまだ5Sという言葉自体知らない人も多いです。
論文「5Sに関するスタッフの意識と病棟の現状」

 

このページでは、医療現場における5Sとはどのような活動か、どんな目的で行うのかをお伝えしていきます。

5S活動とは

5Sは整理、整頓、清掃、清潔、しつけの略で、ローマ字で書いたときにすべて頭にSがつくので「5S」と呼びます。

5S活動はこの順番通りに行うことがポイントです。

 

医療現場における5Sとは

医療現場における5S活動の「整理」

まず最初に行うのが整理。

整理とは「要るモノの要らないモノ、急がないモノに分けて、要らないモノを徹底的に処分すること」です。

 

「整理」と聞くと、「綺麗に整える」というイメージで捉える方も多いのですが、重要なことは「徹底的に処分する」ことです。

要るモノと要らないモノが入り混じった状態だと、必要なモノを見つけるのが遅くなり、とても非効率です。

 

病院は日々消耗品や書類などを扱っていますので、捨てることをしていかないとモノはどんどん溜まって有効スペースが狭くなり、働きにくい環境になっていきます。

 

しっかり捨てる基準を決めて、それに沿って使っていないモノは全て処分していきましょう。

職場を「必要なモノのみ」の状態にすることが重要です。

 

医療現場における5S活動の「整頓」

二番目の「整頓」は「必要なモノをいつでも誰でもすぐに取り出せる状態にすること」です。

毎日使っている場所であれば、何がどこにあるかだいたい把握されていると思いますが、新しく入られた方や異動してきた方も迷わずすぐに使える状態にすることが整頓です。

 

医療現場では共有で使うモノがたくさんあります。

それら共有のモノが使用後に元の場所に戻されていないと、その都度「探す時間」というムダが生まれ仕事が遅れてしまいます。

 

そういったムダを一つひとつ改善して、より楽に、よりスピーディに作業できるようにしていくことが大切です。

医療現場における5S活動の「清掃」

三番目の清掃は、「誰がやっても同じきれいな状態を維持すること」です。

きれいと感じる基準は人によって違います。

同じ部屋を見ても「きれいな部屋だ」と思う人もいれば「汚い部屋だ」と思う人もいます。

医療現場における5S活動・きれいの基準

医療現場では衛生管理が重要課題になるので、この「きれいの基準」をみんなで統一して、常に一定の綺麗な状態をしっかり維持していくことが大切です。

 

また清掃にはキレイにするのと同時に「点検」の意味合いもあります。

日頃からルールに沿った清掃を行うことが点検になり、異常を発見しやすくなります。

医療現場における5S活動の「清潔」

四番目の清潔は「整理、整頓、清掃の3Sが標準化されて維持されている状態」を言います。

整理整頓や清掃を不定期に単発で行っても、すぐにまた元の状態に戻ってしまいます。大事なのは整った使いやすい綺麗な環境を維持していくこと。

そのため、すべてにルールを決めて標準化し、それをみんなが守れる仕組みを作っていくのが清潔です。

これによって医療現場を安全で衛生的な環境にしていくことができます。

医療現場における5S活動の「躾」

最後のしつけとは「清潔な状態が習慣化し、当たり前になっている状態」を言います。

「しつけ」という言葉を聞くと、子どもやペットをしつけるようにトップダウンで「ルールを守らせる」という意味で捉えられがちですが、それは誤解です。

5Sのしつけは上記の清潔な状態が習慣化されて、みんなが当たり前に無意識にできている状態のことです。

このレベルまで来ると、みんなが些細なことに気がつくようになり、異常をいち早く発見して早期に改善していくことができます。

 

医療ミスは勘違いやうっかり間違いがほとんどだと言われています。

職場で5Sが徹底していけば、みんなの感性がとても高い状態になり、そのようなミスがなくなっていきます。

 

5Sセミナーを行なっていると、参加者の方から「どうやったら職員のしつけになるのか」という質問をよくいただきます。

病院では「共有の備品が使ったあと元の位置に戻っていない」「安全意識が薄い」などの問題がよく挙がるのですが、こういった「職員の気のゆるみをなんとかしたい」というのが多い悩みです。

後始末が得意な方から見ると不思議に感じるかもしれませんが、実はこれが一番難しいんです。

 

ルールを決めても守らない人がいる、ついつい後回しにして忘れてしまう、こういったことはどこの職場でも起こっています。

この場合の問題は「ルールを守らないこと」ではなく「ルールを守れる仕組みがないこと」です。

 

まずはしっかり整理整頓から行ってモノ一つひとつにルールを決め、みんながそれを無意識に守れるようように工夫をしていくことが大切です。

これを徹底していけば自然に「しつけ」の状態となり、みんなが当たり前のようにルールを守れる組織に変わっていきます。

現在は、このような組織改革の面からも5Sが注目され、取り組む病院や施設が増えています。

 

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医療現場における5S活動の目的

それでは何のために病院・医療現場で5S活動を行うのか、その目的についてお伝えします。

5S活動についてよくご存じのない方は、なんとなく「職場を綺麗にするための活動」と思われている方もいらっしゃいます。

 

今実際に取り組んでいる方の中でも「上司に言われたから仕方なくやっている」「職場でもともとやっていたからとりあえずやっている」というように、目的も分からず取り組まれている方も少なくないです。

このように5S活動の本当の目的を知らずにやっていても表面上の活動になってしまい、従業員の意識を改革したり業務を快適にするほどの効果を得ることはできません。

 

「何のための活動か」ということを理解してする活動と、なんとなくでやっている活動では成果が全く違います。

ここからは5S活動の目的についてご説明していきます。

5Sの三つの目的

医療現場の5Sの目的

5S活動の目的は大きく三つあります。

それが「安全」「効率的」「快適」の三つです。

 

5Sはもともと製造業から始まりましたが、これは病院などでも同じです。

医療現場における5S活動の目的「安全」

まず第一に「安全」な職場づくりです。

病院ではとくにこの安全が重要で、医療事故やヒヤリハットをなくしていくことが大きな目的となります。

 

5S活動で職場がきれいになっていたとしても、ミスやヒヤリハットが減らないというのであれば、それは5S活動とは言えません。単なるきれい活動です。

介護施設の場合でも、転倒・転落・食中毒・感染症などの事故を減らしていく工夫が必要です。

 

ミスをなくして、安全な環境づくりのために改善していくことが5Sの大事な目的の一つです。

医療現場における5S活動の目的「効率的」

二番目の目的は「効率的」な職場づくりです。

たとえばこの数字とアルファベットの一覧を見て、1から20まで順番に数字を数えて、何秒かかるか測ってみてください。

整理整頓されていない英数字

多くの方は10秒以上かかったと思います。

 

ではこの一覧を整理して不要なアルファベットを無くし、数字を整頓して並べてみます。

整理整頓された英数字

この状態だと何秒かかるでしょうか?さっきより遅くなった人はいないはずです。

このように、より素早くスムーズに作業ができる状態を作っていくのが5S活動の目的の一つです。

 

そのためには職場から不要なモノを一切なくし、一瞬で認識んできる整った状態にしていく必要があります。

それはモノだけでなく、書類や、パソコン内のデータも同じです。

 

医療現場における5S活動の目的「快適」

三つ目の目的は快適な職場づくりです。

衛生面などはもちろんのこと、職員の体や精神面での負担軽減や、職場内のコミュニケーションや報連相、チームの連携など、全ての面で働きやすい環境を作っていくのが、5S活動の目的です。

医療現場では残業が多いことも問題になっていますが、こういった問題を改善していくのも5S活動の役目です。

以前携わった病院では、「5S活動を始めてからみんなで話し合うことが習慣になってコミュニケーションも取りやすくなった。ルールもみんなで決めて守れるようになったので、以前より働きやすい職場になった」というご意見をいただいています。

 

また活動による成果として、低・中所得国の保健医療施設の利用者満足度を向上させる上で有効だという研究結果も出ています。

5S活動の目的の先にあるもの

医療現場における5S活動

以上の3つの目的のために5S活動を行なっていくのですが、その奥にもっと大事な真の目的があります。

それは「ルールを守れる風土を作ること」です。

 

整理整頓にしても清掃にしても、5S活動はすべて「みんなで話し合ってルールを決めて、それを守っていく」という活動です。

もしルールが守れなければ、工夫をして守れるルールに改善していく。

この改善を習慣的に行なっていくことで、次第に病院全体がルールを守れる組織になってきます。

 

そして職員一人ひとりの感性が高まり、これまで気づかなかったことに気づけるようになり、業務パフォーマンスも上がります。

これまで5Sに取り組まれた多くの企業様からは「社員一人ひとりから意見がでるようになった」「自主的に動いてくれるようになった」という声がたくさん寄せられています。

 

5S活動に取り組まれる際は、まずスタッフ一人ひとりが5Sの目的を理解した上で、さらに自分たちは何をゴールに5Sに取り組むのか?5S活動を使ってどんな病院にしていきたいか?を話し合って、みんなで一つの目標に向けて活動を進めていってください。

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