今回は、病院や介護現場における5S活動の「清掃」について解説します。
5S活動とは「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」の活動の略。
5Sはまず「整理」を行なって要らないモノがなくなったら次の「整頓」に進み、必要なモノをいつでも誰でもすぐに使えるようにします。
それが終わったら今回の清掃に進みます。
病院・医療現場における5S活動「清掃」とは
5S活動における清掃とは、「誰がやっても同じきれいな状態を維持すること」です。
ただ掃除をするだけではなく、誰が清掃しても常に同じ質の奇麗さを保てるようにすることが目的です。
どの状態を「きれい」と判断するかは、人によって違います。
ある人は「きれい」と感じても、別の人が「きたない」と感じることもあります。
ひとそれぞれ綺麗の基準が違うので、そのまま清掃を続けていくと日によってキレイさにバラつきが出てしまいます。
そうならないためにきれいの基準を統一することから始めなければいけません。
まずは「どの状態まできれいにするのか?」をみんなで話し合って決めていきましょう。
そしてその状態を目指して、いつ、だれが、どのように清掃していくか具体的に決めていきます。
医療・介護現場のでは食中毒や感染症予防のためにも衛生管理はとても重要です。
どこに菌が発生しやすいか、どれくらいの頻度で、どうやって掃除するのが理想的かなども考えていきます。
清掃で大事なのは、綺麗な状態を維持していくことです。
そのためには維持できる工夫が必要です。
人は忘れてしまったり、慣れてくるとつい手順を省いてしまったりします。
これがヒューマンエラーの原因になります。
そうならないために、忘れない仕組み、ルールを守れる仕組みを作っていかなければいけません。
清掃は点検なり
5S活動の清掃には「点検」の意味合いもあります。
日常的に行う清掃は、綺麗にすると同時に点検も兼ねています。
毎日きっちり同じ基準で清掃を行なっていると、変化や異常にきづきやすくなります。
そういったことの積み重ねがミスや事故を防ぐことに繋がります。
こうして安全で衛生的な職場が保たれていくことで、患者様の安心と信頼を得ることができます。
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病院・医療現場における5S活動「清掃」の進め方
病院・医療・介護施設などにおける5S活動の「清掃」の具体的な進め方とコツをお伝えします。
清掃で行うことは次の二つ。
- 綺麗の基準(目標)を決める
- 清掃のルールを決める
- 清掃の仕組みを作る
綺麗の基準(目標)を決める
清掃ではまず「どれくらい奇麗にするのか?」というきれいの基準(目標)を決めます。
スタッフ全員で話し合って、場所ごとに具体的な目標を設定しましょう。
医療現場では衛生面・安全面の観点からも常にゴミ・チリ・ホコリ・汚れのないピカピカな状態が理想です。
清掃のルールを決める
目標が決まったら次に場所ごとの「清掃ルール」を決めます。
どの場所を、いつ、だれが、どの掃除用具で、どんなやり方で、どれくらいの頻度で綺麗にするのか具体的に決めて行きましょう。
「どれくらい奇麗にするか」という目標によって、掃除のやり方や頻度は変わってきます。
そういったことも考慮してルールを決めていってください。
医療・介護現場では水回りの衛生に注意が必要です。
水はねや水垢、ほこり、髪の毛などがないか、管理できるルールを作りましょう。
清掃の仕組みを作る
ルールが決まったら「清掃の仕組み」を作りましょう。
ルールを決めただけでは忘れてしまうので、清掃当番表を作って掲示するなど、みんなが忘れないように工夫します。
掃除のやり方が分かりにくい時は、写真やイラストを使うなど、誰でもすぐにわかるように掲示しましょう。
そしてチェックシートを作成して、決めたルールがきっちり実行されているか確認できる仕組みも作ってください。
まとめ
5Sの清掃とは「誰がやっても同じきれいな状態を維持すること」。
そのために次のことを行います。
- 綺麗の基準(目標)を決める(みんなで基準を統一して目標を設定する)
- 清掃のルールを決める(いつ、だれが、やり方、掃除道具、頻度など具体的に決める)
- 清掃の仕組みを作る(忘れないように工夫して、やったかどうかわかるようにする)
人はすぐに忘れてしまったり、気が緩んで省略してしまったりということが起こってきます。
そういった些細なことの積み重ねが、医療ミスに繋がっていきますので、しっかりとルールを決めて守れる仕組みを作ることが大切です。
こういった取り組みが5S活動の清掃です。
ここまでの、整理・整頓・清掃を徹底していくことで次の「清潔」の状態になります。